Relight

2024年03月03日 インタビュー

お悩みno.1:同棲相手から家を追い出された女性

「早く着いちゃったんですけど、大丈夫ですか?」
12月下旬のお昼ごろ、相談買取の予約時間よりも30分以上早く来たのは、茶髪でニット帽にロングコート、カラフルなネイルもしていて、可愛らしい小柄な女性。

彼女が予約しているのは、Relightが最近始めた生活のお悩みを買い取るサービス。
おしゃれで可愛らしい雰囲気の彼女に、いったいどんな生活のお悩みが…?
もしかして間違えて予約してないか…?

そんな心配をしながら、早速お話を伺うことに。

ネットカフェに1週間程いますが、個室席でも狭いし、身体もしんどいですね。

市川:
それではお悩み買取を始めさせていただきますね。
かしこまらずに談笑する感じでお話しさせてください。
まずはお名前とご年齢を教えていただけますか?

山田:
山田(仮名)といいます。年齢は57歳です。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。

市川:
山田さん、ありがとうございます。
今日はどちらからいらっしゃったんですか?

山田:
新宿のネットカフェから来ました。代々木寄りのほうです。

市川:
代々木寄り…新宿の中でもちょっと落ち着いたあたりですかね?

山田:
そうそう、歌舞伎町とか繁華街は怖くて無理で…笑
今はその代々木寄りのネットカフェに1週間程いますが、個室席でも狭いし、身体もしんどいですね。

市川:
そこで一週間も生活しているんですね…ということは住むところがないってことですか?

山田:
ないです。
住むところがないことと、仕事がないことも相談したくって、今回予約しました。
もともとRelightのことを知っていて、家がなくなったタイミングでこのお悩み買取を知ったので、勇気を出して予約してみました。

市川:
Relightのことを知っていてくれたんですね!嬉しいです~
仕事もないってことは、貯金でやりくりしているんですかね。
山田さんは、現在お手持ちのお金ってどのくらいありますか…?

山田:
うーん、どうだろう…ネットカフェ代を3日分くらい先払いしているので、それを除くとあと5,000円くらいでしょうか。
お金的にも余裕がないので、その点もどうしたらいいか相談したいです。

同棲してから数年経ったある日、私が身体を壊してしまい、手術が必要になりました。

市川:
5,000円か…それだと交通費とか食費で数日しかもたないですよね…
わかりました、それではお悩み買取と併せて今後のことも一緒に話しましょう。
その前にもう少し現在までの経緯というか、家がなくなった理由を教えてもらえますか?

山田:
はい、つい最近まで関西にいる交際相手の家に3年ほど住んでいました。
彼は、ネットゲームで知り合った10歳以上年下の方で、ゲームのオフ会で実際に会って、それをきっかけに付き合い始めたんです。

市川:
ネットゲーム!今どきの出会いや…一緒の趣味を持っていると楽しそうで良いな~

山田:
そうですね、そしてほどなくして彼と同棲することになりました。
最初は問題なく楽しく同棲できていたのですが、同棲してから数年経ったある日、私が身体を壊してしまい、手術が必要になりました。

市川:
そうだったんですね…

山田:
命に別状はなかったのですが、それをきっかけに私はしばらく働けなくなってしまったんです。
そのため、割り勘で払っていた生活費を私が払えなくなり、彼が1年半ほど衣食住の面倒を見てくれました。

市川:
お金がないのは、精神的にもしんどいですよね…ただでさえ身体的にしんどいのに…
頼れる人がいて良かったですね。

山田:
本当にありがたかったです。

ちなみに、私はもともと看護助手として7年、介護施設で3年勤務していたので、介護の資格を持っています。
(綺麗にファイリングされている資格証をこちらに見せながら)

市川:
おお、本当だ!

山田:
そうそう、だから、すぐ再就職できるだろうと思ってたのですが、なかなか体調が安定せず試用期間で解雇されることが続きました。

その間も彼が生活費を出してくれてましたが、それが彼の負担になってしまい、徐々に生活が苦しくなって、ついに出て行ってくれないかと言われました。

市川:
うーん、お相手の気持ちもわかるけど、そんないきなり…

山田:
いや、数か月前から、なんとなく気まずい雰囲気はあったんです。
なので、いつかは彼から出て行ってくれと言われてしまうかもと心の準備はしていました。

行くあてもお金もなかったのですが、とりあえず荷物をまとめて相手の家を出ました。
私はもともと東京西部の生まれなので、まずは東京に戻ろうと思って、現在に至ります。

介護は「仕事」としてはできますが、家族となるとできなかった。

市川:
そうだったんですね…
でも東京出身ということは、東京にも頼れる方がいるのでしょうか?

山田:
両親はすでに他界しているのと、一人っ子なので兄弟はいないんです。
親戚はいますが、10年以上付き合いがないので、頼るどころか連絡先もわからないかも…

市川:
東京にも頼れる人がいないんですね。
ちなみに山田さんは、同棲する前は一人暮らしをしていたんですか?

山田:
いえ、同棲するまで、私は実家で生活していました。
私は、母とは仲が良かったのですが、父とはずっと仲が悪くって。
父は「THE 昭和の人」って感じだったので、私と合わなくて…私の反抗期あたりから、母を介してしかやりとりできていませんでした。

市川:
お母様がパイプ役だったんですね。

山田:
でも、2019年に母が亡くなって、そこから父と二人暮らしになりました。

父は、表には出ていませんでしたが、母の死が悲しかったんでしょうね。
母の死をきっかけに認知症が進行してしまい、それまでお互いに干渉しないように生活していたのに、父の介護が必要になりました。

市川:
介護自体も大変ですが、仲の悪い家族相手だと、さらに大変だったのではないでしょうか?

山田:
そうですね…介護の仕事の経験自体はあるので、「仕事」としてはできますが、家族となるとできなかった。
どうしても自分の主観や感情が入ってしまうので、割り切れなくって、だんだん辛くなりました。

あと、父の要介護度認定の調査の時も、普段の父の状態を見てもらいたいのに、父が変に頑張ってしまうので軽度の度数しかつかなくて…

市川:
ああーーー、要介護度認定あるあるですね。

山田:
そうなんです。結局軽度だと利用できるサービスも少ないし、もともと頼れる人がいないので、ひとりぼっちで追い詰められてしまいました。

その頃がちょうど、関西の彼との同棲の話が出たタイミングだったので、最後は父を家にひとり置いて出ていってしまいました。

市川:
山田さん、かなり追い詰められてしまったんですね。
その後お父様はどうなったんでしょうか?

山田:
私はその後、父と連絡をまったく取らなかったので、次に父と会ったのは、行政が対応してくれて入所できた施設の中でした。

市川:
行政が動いてくれたんですね。

山田:
そうみたいです。
父は、しばらくひとりで生活できていたようなのですが、いよいよ日常生活ができなくなったタイミングで、行政が介入してくれたようです。
その後、父を施設に入れていただき、自力でご飯が食べられなくなって、先が長くなさそうなタイミングで、行政の方から私に連絡がきたの。

市川:
うーん、行政から連絡が来ても、複雑な気持ちだったんじゃないですか?
お父様に会いに行けたんですか?

山田:
そう、複雑な心境でした。
でも一人っ子だから私しか手続きをする人がいないので、2度ほど父に会いに行きました。

最期に会ったときはもう私のことは覚えていなかったけど、ご機嫌な様子でした。
父とは仲は良くなかったけど、会えて良かったかなと思います。 

そして医師から、父の延命措置はどうするかと聞かれましたが…止めてもらいました。
同棲していた彼との関係も終わったので、本当にひとりになりました。

友達はお互いの人生ステージが進むごとに、徐々に疎遠になっていきました。

市川:
そうなんですね…
ご自身の体調も良くなかった時期とも重なるし、しんどかったですよね…

お父様のことや同棲のこと、そして現在の状況を、ちょっとでも話せる方は周りにいますか?

山田:
今はいないかも…もちろん前は友達もいたし、すでに離婚していますが結婚もしていたんです。

でも、友達はお互いの人生ステージが進むごとに、徐々に疎遠になっていきましたね…

「子育てで忙しくても会いたい友達」という小さな枠の中に入ることができなかった。

市川:
わーー、私今年30歳なんですけど、ちょうど周りの友達が結婚したり子どもができたりと、人生の分岐点を感じているのですっごいわかります。

山田:
そうよね、歳を重ねるごとに、友達は少なくなっていくから大切にしたほうが良いですよ。

もちろん自分がその枠に入れるように、こまめに連絡をしたり、友達を大切にしていたかというとできてなかったかもなんだけど。

というか、友達に会えたとしても、今の状況をいきなり久しぶりに会う友達に話すこともできないし。
話すこと自体が申し訳ないし、お金が欲しい訳ではないのに変に気を遣わせるのは嫌だし…

市川:
大人って難しいですね…確かに友達がいても、言えないかも。

山田:
あっ、悩みを誰にも言えなかったこともしんどかったと、いま話しながら気付きました。

こんな悩みを話せる相手もいないし、そもそも友達とも疎遠になってしまっているので、悩みを自分の中に溜めて、悶々としてしまって。

そうすると、どんどん悪い方に考えるので、もうどうにもならないんじゃないかって…

今回話せて良かったです。ちょっと楽になりました。

市川:
そう言っていただけて良かったです!
山田さんのお悩みをお伺いできたので、聞き取りはこれで終わりですが、お手持ちのお金が少ないので、今後のどうするかのお話もよければさせてください。

ちなみに、生活保護を受けれると思いますので、役所に相談してみませんか?

山田:
生活保護は調べてみましたが、受給してから家や仕事を探すまでに時間がかかりそうなので嫌で…いま働きたい!という気持ちなので、すぐ仕事を探そうと思います。

いまは体調も良いので、まずは仕事を探したいです。

市川:
うーーん、わかりました、それでは別事業の「いえとしごと」で仕事を紹介できるか聞いてもらいます。
でもまた体調が悪くなって仕事が難しそうであれば、生活保護を受けることも検討しましょうね。

山田:
わかりました。今日はありがとうございました。

山田さんの後日談&編集後記

お悩み買取後、「いえとしごと」という寮付きの仕事の紹介を通じて、山田さんは介護の会社で面接をしてもらい、採用になりました。

しかし、その後山田さんはすぐ体調を崩してしまい、会社に連絡せず寝込み、結果として会社から前借したまま無断退職というかたちに。

いえとしごとスタッフと山田さんは連絡が取れたので会社に謝罪&お金をお返し。

その後、山田さんはお仕事よりも先に体調をまずは整えることになり、生活保護を受給することになりました。

身体を休めながらまずはお部屋探し。
その後にお仕事を探す流れを予定しているようです。

しかし、山田さん曰く、毎日何もする事がないのが苦痛なようです。
また、自分がしてもらったように、いま困ってる人の何か役に立ちたいそうで、どこかの団体でボランティアをしようと探しているとのことでした。


市川:
山田さんの体調面を心配していたので、お仕事ではなく、まずは生活保護に繋がることができて良かったです。

でもお話を聞いている感じ、じっとしているのが苦手そうですが、焦らずにまずはゆっくり休んでほしいなと思いました。

山田さん、この度はお悩みを買い取らせていただきまして、ありがとうございました!
また落ち着いたら近況を教えてください。

おわりに

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