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2024年03月03日 インタビュー

お悩みno.3:「不公平な社会」で苦しむ三上さん

今回の相談者さんは、三上さん(仮名)、60代前半の関東出身の女性。

現在友人宅に身を寄せているという三上さん。

今後の生活に不安を感じていた矢先、「いえとしごと」を知ってお悩み買取サービスをご利用されました。

友人宅を転々とする日々で困憊こんぱい状態に


市川:
三上さん、はじめまして。今日はよろしくお願いします。かしこまらずざっくばらんに話してくださいね。

三上:
よろしくお願いします。
あの…今困ってることをお話してよろしいんですよね?

市川:
もちろんです、お話ししたいお悩みをぜひ教えてください。

三上:
ここ1年半友人宅を転々とする生活で、住民票を置ける住所がなくて困っています。保険証もない状態で、それが一番の悩みです。

市川:
家がなくて保険証もない状態なんですね。そうすると何かあって病院に行くと全額自費になるので病院に行けないですよね…
体調面は大丈夫ですか?

三上:
実はコロナのワクチン接種後、体調が悪くなってしまったんです。末梢まっしょう血管の狭窄きょうさくで体が冷えたり痛かったり、精神的にも鬱のような状態で、思うように動けない状態です。コロナ下で糖尿病にもなってしまいました。

友人の生活もあるのでずっと居候するわけにもいかないですし、体も言うことをきかない状況で気持ちも弱気になってしまって、これはいよいよまずいなと思ってこちらに来ました。

市川:
そういう状況でお越しいただいたんですね。
ちなみに転々とする前は、どちらかで家を借りて暮らしていたんですか?

三上:
しばらく人と暮らしていました。

市川:
どなたかと一緒に住まれてたんですね。
言いたくなかったら大丈夫ですけど、ご友人かパートナーの方と住まれていたんですか?

三上:
女性の友人です。過去に「結婚してもいいかな」と思っていた男性はいたんですけど、結婚する前に急死しました。親兄弟も叔父叔母もみんな死にました。

市川:ご家族もご親族もみんな亡くなっているんですね。

三上:
みんな死んでしまって、もういません。「何で生きてるのかな」みたいな状態です。

市川:それは辛いですね。

三上:
でも不幸ではないんですよ。今はしがらみもなく自由で、痛くても足があるし、顔に傷があるわけでもないし、身を寄せられる友人もいるので幸せです。幸せではあるけれど、困っています。

市川:
幸せではあるけれど困っていて、でも頼る先がないという状況なんですね。

三上:
そういうことですね。

市川:
家に泊めてくださっているご友人は心配されていますか?

三上:
心配はしてくれていますけど、心配されても解決はしないんでね…

市川:
そうですよね…
体調が悪いということなので、今は仕事はされていないですか?

三上:
体が動かないので、働いていないです。

年齢的にも雇ってくれる先がないですよ。私のような年寄りを若い子と同じ値段で無理に雇いたくないじゃないですか。20代の子と同じように動けるわけがないんだから、同じ仕事をしても差が出ちゃいますよ。

店番でもしていればまた別ですけど、もうそういう時代じゃないですし。

市川:
会社によって採用枠は違うと思いますけど、きれいごとを言ってはいられない職種も確かにありますよね。
体調がよかった頃は、働かれていたんですか?

三上:
仕事に縁がない土地で生まれ育ったので、ちゃんとした仕事はしたことがないです。

市川:
どんなお仕事でも大丈夫なので、教えていただけると嬉しいです!

三上:
パートなどをした時期はもちろんありましたよ。あとは、親が生きていた時は実家にいて、親の店をちょっと手伝っていました。

市川:
ご両親がご存命中は、ご実家に住んでいたんですね。大型スーパーなどで雇われて毎日がっつり働くというよりは、家業の手伝いが中心だったんですか?

三上:
そうですね。「家事手伝い」という形で生活できる時代でした。

市川:
昔と今では時代背景も違いますもんね。
時代の話で言うと、私は不況しか知らない世代なんですけど、三上さんはバブルを経験されていますよね?当時羽振りはよかったですか?

三上:
ニュースで見ても、私はバブルの波には乗っていませんよ。これまでまとまったお金を手にしたことはないですし、親が亡くなった後は経済的にも大変になりました。

市川:
ご両親が亡くなった後から苦しくなってきたんですね。
年齢的に年金はもらえないですか?

三上:
私はもらえないです。「月5万円程度のために20年近く税金を納めても意味がない」って若かったら思うじゃないですか。

市川:
「自分で納めに行かなきゃいけないなら、納めなくてもいいかなあ」という感じだったんですかね?義務だから本当は怒られちゃいますけど。

「不公平な社会」に対する憤り

市川:
そうすると今収入がない状況なんですね。役所に生活保護の相談へは行かれましたか?

三上:
そもそも住所がないですし、行っていないです。

普通の人間なら生活保護に頼らず頑張るじゃないですか。生活保護を受けている人をたくさん知っていますけど、みんな元気で遊んでいてどうかと思いますし、生活保護に関しては思うところがあります。

例えば、「炭坑労働者で本当に食えないような人」っていうのは別ですけども、首都圏の生活保護を受けている人達はみんなバイトしたりしていて、それっておかしいと思うんですよね。

生活保護って不公平じゃないですか。不公平はよくないです。だからみんな平等になるようにベーシックインカムにしてしまえば、一番いいんですよ。もう制度を変えなきゃいけない時じゃないですか。

市川:
「ベーシックインカムならみんな平等にお金をもらってとりあえず生活はできる」ってことですね。

三上:
20年分くらいベーシックインカムでお金を配れる財源があるって聞いていますよ。

(※スタッフが調べたところ、根拠となるデータはなさそうでした。)

市川:
そうなんですか?もしそれが本当なら、今スタートしたら三上さんも80歳過ぎまでもらえますね。

三上:
そんな話を誰かが言ってましたよ。

最低限もらえていたら、働く人は働くし、誰かのために何かをすることだってできるわけですよ。でも自分が食えないんじゃね。

本当は「社会に助けてもらいたい」

NPOさんの支援物資を受け取る三上さん

市川:
ベーシックインカムについての議論はいろいろありますよね。

生活保護は最低限の生活費しかもらえないですしね。医療費もタダなんですけど、生活保護には三上さんはあまり興味がないですか?

三上:
興味はありますけど、私も受けられるんですか?

市川:
受けられますよ。基本的に貯金が5万円を切っているなど、条件を満たせば誰でも受けられる制度なんです。

三上:
そうなんですか!?え…やった!お金がないのは間違いないです、それは間違いない!

市川:
おお、ガッツポーズしてますね!(笑)
持ち家や車といった資産になるようなものもないですか?

三上:
何もないです。あるのは命だけ!(満面の笑み)

市川:
ちなみに、「受けたいけど受けられない」っていう人の中には、家族に連絡がいくと困るという人も多いんですけど、ご家族はみんな亡くなったってことでしたよね?

三上:
そうです、みんな亡くなったので、頼れる家族はいないです。

市川:
それであれば問題ないと思います。三上さんの場合は現住所がないので、最初は寮のような施設に一旦住所を置いて、そこで生活することになると思います。

三上:
そんな良い話があるんですね…!夢のようです。

市川:
そうなんです、あんまり知られてないですけど結構良い制度ですよね。
もし生活保護を受けられたら、まずはどうしたいですか?

三上:
そりゃ、大人しく寝ていたいですよ。

市川:
先ほど体調が良くないと言ってましたもんね…部屋で安心して休みたいですよね。

三上:
ええ、兎にも角にも落ち着きたいですね。でも本当に受けられるのかが一番気になります。

市川:
うちは生活保護の斡旋はしていないんですけど、NPOさんを紹介することはできます。NPOさんと三上さんの状況を改めて整理した上で、役所まで付き添ってもらうのがいいかもしれません。

三上:
ただ問題があって、実は借金があるんです。生活保護では借金は払えないから、ちゃらにするような手続きをするっていうことですね。そういう状況で受けてもいいのか、心苦しい部分があるんですね。

市川:
おっと、新たなテーマが出てきましたね…どこからお金を借りていますか?

三上:
まともなところだとカードローンで借りてます。

市川:
クレカがNGになっちゃってるんですね。どれくらいカードローンをしたんですか?

三上:
よく分からないです。

市川:
督促状はきていなかったですか?

三上:
きていたかもしれません。見ないで済むなら見ないで済ませたかったので、見ていません。

市川:
どのくらい膨れ上がっているか確認するのが怖くなっちゃいますよね。

三上:
「全部データが消えればいい」とずっと思ってるんですが、消えないですよね。生活保護を受けられても、借金があるので心苦しいっていうのがあります。

市川:
申し訳なさがあるんですね。

三上:
そりゃそうですよ。時代的に借金が重くなってもしょうがない部分はあるんだけど…あー、いや、やっぱりちゃんと働いた方がいい。

市川:
借金と向き合ったら、自問自答する部分がありますかね?一度役所で借金のことも相談するといいかもしれませんね。

ちなみにカードローンを使ったきっかけは生活費のためですか?

三上:
そうですね。別にダイヤモンドや毛皮を買ったわけではないですよ。

市川:
「ちょっと生活費に充てていたら膨れてきちゃった」ということですよね。三上さんはパチンコとかはやらないんですか?

三上:
やらないです。

市川:
タバコも吸わない?

三上:
吸わないです。酒は付き合い程度です。
あの、やっぱり生活保護は受けられないでしょうか?

市川:
「借金があるから受けられない」ということはないです。ただ「生活保護を受けたから借金が消える」ということはないので、役所の方にもお話して、借金をどうするのか決めていくことになると思います。

三上:
役所で状況を隠さずちゃんと話さないといけないですよね、分かりました。

市川:
言いづらい話もお聞かせいただいて、ありがとうございました。三上さんのご状況について理解できたので、この後これからのことを具体的に話していきましょうか。

三上さんの後日談

その後、生活保護を前向きに検討したいとのことで、NPOさんから預かっている「緊急お助けパック」を渡し、こちらからもNPOさんに役所の窓口に同行していただけるように手配をしました。

クロックスさんから寄付でいただいたサンダルもお渡ししました。

数日後、NPOさんに無事に役所に行って相談できたか伺ったところ、連絡が取れなくなってしまったとのことでした。
さらにこちらも連絡が取れず…警戒されてしまったのでしょうか。

役所の情報などをお伝えしたので、ご自身で窓口に行けていたらいいのですが心配しています。
また連絡があれば、こちらもサポートしていきたいと思います。

三上さん、この度はお悩み買取をさせていただきまして、ありがとうございました。

おわりに

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